先週末、NHKのBSで待望の「七人の侍」を放映、久々に拝見した。1954年、黒澤明監督。
折悪く、途中で天候不順、はるか彼方で雷が発生、少し経ってから画像が消えてしまった。BSの不便な所は大気が乱れると電波をキャッチ出来ない点。中盤に差し掛かって野武士の一団を逆襲する辺りがほとんど受信不能状態。カミナリも意地が悪い。その間、地上波で放映していた「ターミナル」を見て過ごす。
今回は、岩波書店刊「全集黒澤明」に載っているシナリオを片手に映画を観た。意外に面白い。冒頭からして、当初のシナリオと違っていた。試行錯誤の片鱗だろうな。
情景説明や台詞の一つ一つを確認しながら見ると、新しい発見がある。わずか数行のト書を鮮やかな映像にしてしまう。監督の手腕、思想そのもの。以下、映画冒頭シーンのシナリオ、
眼下の山峡に小さな盆地がある。そして、段々畠の底に戸数二十戸ばかりの村が、一かたまりになっているのが見える。七、八寸にのびた麦畑にとりかこまれ、花盛りの梅に飾られたその村は、すがすがしい朝の光線の中で、静かにかまどの煙をたなびかしている。それを変に陰惨な眼で見降しながら野武士が言う。
「やるか……この村も」「待て待て……去年の秋、米をかっさらッたばかりだ。今行っても何もあるめえ」「よし……あの麦が実ったら、また来るべえ」
野武士達、馬首を立て直すと埃を巻いて走り去る。その埃を浴びた熊笹の茂みの中から、恐怖にひん曲った百姓の顔が出て来る(伍作)。<岩波書店刊「全集黒澤明」第4巻(1988年2月発行)より抜粋。原文は大半が一行毎に段落>
以上の説明文をどんな映像にするか。監督の腕次第だろうな。観ていていちいち感心してしまった。脚本から絵コンテを用意する(監督自らが描く)。スタッフがこれを見て、色々策を練る。製作過程を想像するのも楽しい。多くのカットをつなぎ合わせていく編集の技量も重要。大したものだ。今回は、途中の中断で残念な思いもあったが、台本片手の映画鑑賞の面白さも味わった。侍の矜持と農民の生きる知恵の軋轢も重厚。やはり世界のクロサワだね。
昨日の昼間も黒澤特集を流していたけれど、来客があって見られなかった。途中、わずかに時間が取れたのでスイッチを入れたが、又、大気の乱れで画面が固まってしまう。今回は不運続き。でも、チラリと監督の絵コンテを見た。
画像中断中にトム・ハンクス主演の「ターミナル」(2004年のアメリカ映画。スティーヴン・スピルバーグ監督)の一部を拝見。わざと不正入国を手引きし、自分の責任外で逮捕させようと画策する空港責任者の理屈が愉快だった。
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