カミサンの友人には更に遅くなると一報して貰い、来たついでに延暦寺まで足を伸ばした。親父、お袋が眠るお寺さんは天台宗だ。その総本山を素通りしては坊主に叱られる。せめて根本中堂を拝観しなければ。みのる君にとって初めての比叡山。昔、東海二君と登頂を試みた山へ行ってみようと云う事になり、午後の遅い時間、颯爽と新車を操って、山に登った。有料道路とは思わなかった。
延暦寺前の駐車場はすでに閑散としていたが、それでも、何台かの観光バスも止まっている。まだ間に合ったかな。車を降りると寒い。カミサンは身震いする始末。友達を待たせているから、早々に引き揚げましょう。
ずっと、比叡山は初めての場所だと思っていた。昔から一度は訪ねたい場所の一つにしていたが、車を降りて歩き出すと、何となく見覚えがある感覚。おかしいな。少々訝りながら根本中堂の前に辿り着いたが、やはり、記憶がよみがえってくる感じ。買ったばかりの御朱印帳に参拝記念を書いて貰い、この総本堂へ入ったが、紛れも無い、確かに来た覚えがある。中堂内陣では大勢の観光客が有難い説教を聴いていたが、1200年もの間絶やした事の無い不滅の法灯の説明にも覚えがあった。一体、いつ頃訪ねたのだろうか。全く記憶が無い。しかし、間違いなく来ている。来たはず。まさに既視感。普段から神などほっとけ(仏)派を自認しているみのる君の不思議な体験だった。
比叡山から眺める琵琶湖や夕陽に映える京都市街はなかなかの見ものだった。
延暦寺から小一時間で京都大学の正門前に到着。懐かしい立看板が林立している。待ち合わせ場所にカミサンの友人の姿が見えない。おかしいぞ。カミサンはケータイでお互いの所在を確認し合うが、通りの名前を云われても分からない。関東者は訳も分からず、ウロウロするばかりだ。何度か通りを行ったり来たりして、たまたま信号待ちで停車したら、歩道の向こうに彼女が立っていた。カミサンは車内から手を振るが、分かるはずが無いだろうに。しかし、すぐに相手も気付いた様子。車の合間を縫って駆けて来る。信号が青になった所で、彼女到着。慌てて車に乗り込み、周囲に迷惑をかけずに済んだ。
彼女の研究室へ案内され、お茶を頂戴する。ちょうど男子学生が旅行に行って来たとかで、お土産を持って研究室に顔を出したものだから、お土産のご相伴に与った。みのる君はちっとも変わらないわね。昔、一度だけ学会出席の為関東地方にやって来た彼女を泊めた事があるが、よく覚えていたものだ。
これから新潟へ行かねばならない。そろそろ失礼する。積もる話は明日の利休忌の後で。カミサンも腰を上げてくれた。黙っていれば、深夜まで話し込む勢いだった。
前もって予約しておいたホテルにカミサンを送り届けた後、みのる君一人、吹雪の新潟目指して出発。京の五条の橋の上で夕暮の大渋滞に遭遇したが、これも良い記念だ。
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