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カミサンと忘年会

 カミサンが唐突に忘年会をやろうと云い出した。二人だけの忘年会も乙なものよ。要するにみのる君のオゴリで呑もうと云う魂胆。そう云えば、二人だけで呑み屋へ行く機会は、これまでほとんど無かったね。気分転換にちょうど良いか。

大昔の婚約時代、一度だけ東京は新宿紀伊国屋で仕事帰りのカミサンと待ち合わせて、近くのウイスキーが似合いそうな店で呑んだことがある。あの時のカミサンは結構呑んでも平然としていたので、お上りさんのみのる君は戸惑ってしまった。カミサンをアパートまで送り届け、最終に近い電車で地元へ帰ったみのる君はクタクタだったと記憶している。

 結婚後のカミサンはみのる君の晩酌のおこぼれ頂戴程度になり、子育てもあって、段々と弱くなったのかな、最近はごく少量しか呑まなくなってしまった。そんなカミサンが珍しく忘年会の提案。お疲れ様の意味もあって、では、久し振りに街へ繰り出そう。

 いざ出発したものの、馴染みの店なんて無いから、さて、何処へ行こうか悩む始末。近頃は駐車場付きの手近な居酒屋で済ませているから、街なかの古色蒼然、縄暖簾には縁が無い。カミサンが職場で聞いた店の名前を出して、そこへ行ってみましょう、と云う。職場の女性が足を運ぶような店であれば安心かな、みのる君は深く考えずに同意。早速、その店に向かった。

 さて、着いてみればふぐ料理の店じゃん。いかにも高そう。近くに海なんか無いのに「ふぐ料理」とは何事だ。こいつはきっと高いぞ。みのる君はひるんでしまったが、勢いだから仕方無い。そのまま店に入ったが、案の定、べらぼうに高い。セットで頼めば軽く1万円を超える値段がお品書きに沢山書かれている。こいつは参った。手近な居酒屋で呑めば、この金額で二人が十分楽しめる。おいおい、ちょっと高いね。カミサンは泰然としている。たまにはいいじゃん。あまり高いのは注文するなよ。小声でカミサンに注文を付ける。昔から散々金欠病に悩まされて来たみのる君はすっかり及び腰になってしまった。ふぐなんて、贅沢の極みだ。

 ブツブツ文句を並べたものの、生来、楽天家のみのる君だから、八海山の冷酒を呑み始めるとすっかり太っ腹になってしまった。それでも、一応、懐と相談しながら、比較的安いふぐの唐揚やら一品千円以下の漬物やらを頼む。専ら一番安い八海山ばかりを呑んで良い心地になるしか無い。カミサンも4、5杯位呑んだかな。二人して陽気になって、ご帰還さ。帰りの代行代を払ったら、財布の中身は空っぽに近かった。

 カミサンが職場で耳にしたと云うが、それは高給取りの話だったようだ。女性が行くような店と勝手に思い込んでしまったみのる君の失敗だ。早合点がとんだ散財となった次第。しかし、不景気な昨今ながら、今月で職場を辞めるカミサンへのねぎらいと思えば散財も止む無しかな。

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