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夜の訪問者

 カミサンと夕食中、玄関のチャイムが鳴った。みのる君は晩酌の方が大事だから動かない。カミサンが応対に出たが、しばらくして、浮かない顔で戻って来た。どうも怪しいな。客を不審に思ったと云う。手帳なのかバッジだったのか分からなかったけれど、チラリと身分証明らしいモノを見せて、警察官を名乗ったそうだ。

 みのる君の家の斜向かいの御宅に泥棒が入ったと云う。聞き込みしているが、午前10時から今まで、何かおかしな点に気付かなかったか。あいにく共稼ぎだから、昼間の出来事なんか分からない。その時分は外出中と答えたが、どうも怪しい。それとなく我が家の留守の時間を確認しておいて、昼間の内に忍び込もうって魂胆かしら。近頃は振り込め詐欺やらインチキが多いから油断出来ない。第一、聞き込みと云っても一人で来たのは変。テレビの刑事ドラマを見ていると、大抵二人一組の捜査。風体も警察官らしからぬ。ちょっと斜向かいの様子を見てくるね。そう云うと、急いで表に出て行った。

 やっぱり、おかしい。パトカーなんか止まっていないわ。人影も無い。戻って来たカミサンは益々訝っている。町内の駐在に聞いてみたら。だって、電話番号なんか知らないわ。それより、自治会長に聞いてよ。会長だったら、町内の情報は入っているはず。カミサンはみのる君に電話を促す。せっかくアルコールが回って良い心地になっているのに。仕方無いな。会計監査とは云え、一応みのる君も町内の役員の末席を汚している。夜分にスミマセン、実はカクカクシカジカ、と自治会長に電話すると、まだ情報は入っていなかった。それに、警察官が一人と云うのはおかしいですね。駐在所でなく、直接警察署に確認してみましょう。さすが、自治会長ともなるとマメと云うか、機敏な反応。お騒がせして申し訳ありません。みのる君は頭を下げる。その間に、カミサンはもう一度確認して来る、なんて云って表へ出て行った。

 そして。戻って来るなり、パトカーは駐車場に止まっていたわ。家の陰で見えなかった、なんて呑気な事を云う。それから程なくして、自治会長からも電話。確かに泥棒が斜向かいに入った由。スミマセン、すっかり騒がしてしまったようです。

 しかし、我が家のとなりに泥棒とは。警察官をも疑う時代になってしまったか。今までカギなんかしないで散歩を楽しんでいたカミサンは、翌朝からしっかりカギをかけるようになった。

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