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2008年5月14日 (水)

唐津焼

 みのる君のカミサンは一応お茶の先生でもあり、お弟子さんに裏千家の作法教えている。準教授の地位にあって教授も近い内と云う立場、偉いかどうか分からないけれど、お茶に関連して焼物に滅法詳しい。独身時代は焼物を求めて、あちこち動き回った経験をお持ちだそうで、夜行電車に揺られて遠征し、時にはその身なりで男と間違われてしまったこともあると云う。夜行列車で移動の際、真夜中、4人掛けのボックス席を一人で占領して眠っていると、検札にやって来た愛想の無い車掌に起こされてしまい、相手が女性と知った車掌が慌ててしまって平身低頭だったと云う武勇伝を誇っている。そのカミサンが唐津には行った事が無い、この際、是非唐津に行きたい、「一楽ニ萩三唐津」と云われる焼物の世界、是が非でも唐津にこだわるものだから、万難を排して唐津へ行く事が義務付けられてしまった。近くに伊万里もあるが、どうすると聞けば、出来れば寄ってみたいが、どっちでも良い、とにかく唐津は外すなと厳命。吉野ヶ里遺跡を見学後は、いよいよカミサン待望の焼物詣でとなった。

 午後5時。観光客相手の店は大方店仕舞いの時間帯に何とか唐津に到着。唐津と云えば中里太郎右衛門かどうか知らないが、その陶房へ駆けつける。やっと辿り着いた時は、すでに店を閉じる準備中だった。カミサンは臆することもなく、遅くにスミマセンと無遠慮に店へ入り込む。店も客を冷たくする訳にもいかず、店仕舞いを中断して、しばしカミサンの物色に付き合ってくれた。天皇皇后両陛下も見学されたと云う陶房は落ち着いた佇まい。陳列してある唐津の焼物の値札を見れば、庶民には無縁の価格、ゼロが二つも三つも多い代物ばかり。おいおい、まさか買うつもりじゃ無いだろうね、みのる君の年収をはるかに上回る値段だぜ、手に取っても決して落っことすなよ、値札に驚いたみのる君はカミサンの耳元で囁く。カミサンは澄ました顔で平然と見て回る。女は度胸だね。

 ようやく手頃な値段の徳利を見付けたらしい。朝鮮唐津の徳利。価格は3万円超。ゴメン、お金が無いの、貸してくれない。カミサンはみのる君の財布を当てにしていたみたい。酒を呑むのに、そんな高価な入れ物は不要と云うみのる君の感性は鼻であしらわれてしまう。唐津まで来て、しかもやっと見付けた朝鮮唐津よ、しかも安い!カミサンは自分の成果を誇らしげに吹聴して、是非、買いたいと駄々をこねやがる。朝鮮唐津で一献、ステキじゃない。店内で議論もみっともないから、仕方なく勘定を持つ羽目になった。後で返せよ。大丈夫よ。カミサンは安請合いの返答で誤魔化しやがる。

 その後、駅前の唐津焼展示即売会を見る。ここでも茶碗を購入。これは皮鯨と云う茶碗よ。口辺が黒くなっているでしょう、唐津焼はこれも有名なのよ。カミサンは気に入った皮鯨を手に入れて嬉しそうにウンチクを語る。

 唐津の東に日本三大松原の一つ、虹の松原と云うクロマツ林が唐津湾沿いに拡がっている。日本の白砂青松100選にも選ばれている由。買い物の後は、ここをしばらくドライブ。松林のトンネルの中を走るなんて、なかなか乙なものだった。日本の道百選にも選ばれているそうだ。

 やっと希望の焼物を手に入れたカミサンはご機嫌そのもの。何処かで食事でもしましょう。かれこれ夜の7時に近い。辺りは暗くなっている。最初から今晩は車中泊の予定だから、カミサンは慌てる素振りも無い。唐津市内を適当に走っていると、手打ちの蕎麦屋の看板が目に入る。蕎麦でも喰おうか。思い付きを口にすると、カミサンも異存無し。とりあえず腹を満たせれば良し、美味しそうな店を探すのも面倒だし、その蕎麦屋で夕食となった。

 夕食後、慌しい唐津探訪を終えて、再び、高速道路へ。長崎自動車道の金立サービスエリアで暫時仮眠。ここまでの走行距離は1800㌔を超えている。朝方高千穂を出発して12時間以上。一日で400㌔超走破。忙しい一日だった。五月の連休中にもかかわらず、渋滞に遭わず走れたことは、やはり最大の成果だっただろうね。

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