カミサンが「ザ・ワイルドワンズ」の島君の大ファンで、加山雄三とワイルドワンズのコンサートが開かれると聞き付け、是非聴きたい、チケット代は私が出すから一緒に行こうなんてみのる君を強引に誘うものだから、久し振りにコンサートに出掛ける羽目となった。往年のヒット曲は大体知っているし、加山雄三の「海、その愛」はみのる君のピアノのレパートリーだし、「若大将」のファンでもあり、久し振りにエレキサウンドも良かろう、「ブラック・サンド・ビーチ」もナマで聴いてみたい、しかし観客は還暦過ぎばっかりだぞ、大合唱にでもなったら嫌だぜ、オンチには酷な話だ、などとゴチャゴチャ勿体付けながら、遠路カミサンとコンサート会場へ出向いていった。
当日は生憎の雨だったが、やっぱり大勢の還暦過ぎから古希やら後期高齢者に近い人々が集まっていた。みのる君なんかは若い部類か知れない。ステージの目の前、前から2列目を確保していたカミサンだったが、目の前のステージ上には巨大なスピーカーが並ぶ。こりゃ見上げる格好になるから首は疲れるし、ベース音が按配良く胃袋を刺激して腹が減るぞ。相変わらず、みのる君は文句を並べる。そして、開演。
たっぷり大音響のエレキサウンドに浸った。「ブラック・サンド・ビーチ」のリードギターをそつなくこなして、云うこと無し。若大将がステージを下り、客席に入り込んでサービス精神を発揮するとヤンヤの喝采。やはり若大将は若いや。カミサン風に云えばゴリツパッパだ。青いギターも背広姿も相変わらず。古希の若大将がアンコールで「君といつまでも」をご披露してくれたけれど、冷静に考えれば、若大将だから様になるのであって、これが余命幾ばくとおぼしき古希の好々爺が「死ぬまで君を離さないぞ」なんて口説いたら、ゾッとするだろうね。
ワイルド・ワンズの懐かしのサウンドも堪能。「思い出の渚」だけで40年以上も活躍出来るなんて素晴らしいじゃないか。グループサウンズメドレーも歌ってくれて、サービスたっぷり。ドラムスの植田君がステージから飛び出して、客席を走り回る。カミサンの目の前まで来たけれど、間一髪、握手が間に合わず、カミサンは悔しそうだった。
大合唱は「旅人よ」と「サライ」。入口で配られたパンフレットに歌詞が載っていたので、こいつは歌わせる気でいるな、と嫌な予感がしたが、見事に的中。でも、年配者ばかりの所為か、意外に静かな合唱だった。もっとも最前列に近かった所為もあって大音量が邪魔して、はるか後方の2階席の反応なんか聞こえなかった。
あっという間に一時間半のライブが終了。ちょっと短かったけれど(これで前売7千円は高いぜ)、還暦過ぎにはちょうど良い。引き際が肝心。十分に楽しんだ。たまにはライブも良いかも知れない。
沈思すれば、あの大音響が全てをカバーしているとも云える。あれだけ大きな音だから、少々のミスはご愛嬌で済んでしまう。済ませてしまう。成程。ヘタクソなリョウさんを誘って、昔取った杵柄を披露しようか、きっと音で誤魔化せるに違いない。などと一瞬考えてしまった。
ステージ前の特別席だったお陰でロビーに出るまでに随分と時間がかかってしまい、グッズはすでにほとんど売り切れ。人ごみをかき分けて物色したけれど、めぼしいモノはなし。それでもカミサンはすっかりご満足の呈だった。何処かで夕食でも、なんて云ってくれたけれど、外は雨だし、このまま真っ直ぐ帰ろう。みのる君はロビーの混雑ぶりに圧倒されて、すっかり疲れてしまった。夫婦で初めて出掛けたコンサートだったけれど、寄る年波には抗い難い。良い記念になったわね。カミサンは島君を間近でご覧になったので、ご満悦のご様子。島君が演奏途中で首をかしげ、しばらくしてからスタッフを呼んでギターを替えただろう。ありゃ、チューニングがおかしかった所為だぜ。イントロでキーが狂っていた感じだったもの。みのる君が水をさすと、あら、そう、と軽く答えるのみ。カミサンにとっては、どうでも良い事だった。
表に出た所で職場の部下(女史)の母上に会ってしまった。こりゃ、不味いぞ。みのる君の意外な側面がバレてしまう(隠すつもりはないけれど)。内心大いに慌ててしまった。これは、これは。思わぬ所でお会いしましたね。仕方なくご挨拶したけれど、予想に違わず翌朝女史に冷やかされた。
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