古池や蛙飛び込む水の音
貞享3年春、芭蕉が腹痛で餅が食えず、桃の花をめでていた頃の句、
古池や蛙飛び込む水の音
芭蕉庵に40名もの門弟が集まって「蛙」の句合を行った。巻頭の芭蕉が一句が人口に膾炙された上記の句。
最初、「蛙飛び込む水の音」と云う下の五七が浮かんだ。さて、上の五文字をどうしようか、などと悩んでいると、傍らの其角が「山吹や」では如何でしょうかと提案、うーん、ちょっと違うな。芭蕉は其角の意見を却下。突然浮かんだのが「古池や」の五文字。うん、これで行こう。「古池や蛙飛び込む水の音」、良い雰囲気じゃないか。他にも「蛙飛ンだる水の音」(芭蕉以前の桃青を名乗って「庵桜」に載っている)なんて作ってみたけれど、「飛び込む」方がよほど味があるぞ。弟子たちも賛成。蕉風確立の瞬間はほとんど思い付き、即興の作だった。
蛙の鳴き声でなく、水の音に視点を移した所が芭蕉の求めて止まなかった世界。騒々しい蛙の合唱でなく、かすかに水面を叩く蛙の動きを詠んだ所が目新しい。音なんか聞こえるかな、なんて詮索は無用。この際、想像で十分。
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